生き方

なぜやりたいことが見つからない? 【有名編集者・ライターの着眼点】

「やりたいことがみつからない。」「今やっていることがやるべき仕事なのか分からない。」

そう思う人は案外多いのではないでしょうか。

若い頃は私もそんなふうに思うことが多かったように思いますが、40代になった現在、この迷いがあまりなくなりました。

最近見ていた本などでハッとする考え方があったので、書き留めておきたいと思います。

【1】編集者・佐渡島庸平さんが言う「感情を揺さぶる物語」は人生にも応用できる

「好きを仕事に」とはよくいわれる言葉です。

でも、意外とその「好き」ということ自体がよく分からない、という人も多いのかなと思います。

・・・そこで、その悩みのヒントになりそうな話をご紹介します。

『宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』などの人気漫画の編集者として有名な、佐渡島庸平さんを知っていますか?

先日、彼のyoutubeチャンネルを見ていたときに、彼が”物語の企画を生み出すヒント”として、こんな内容を紹介していました。

感情を揺さぶる物語を作るためには、

設定やキャラクターを考えることよりも、「自分の心が激しく動いたときの感情」を

どう再現するかが大切。

(YouTube:編集者 佐渡島チャンネル「感動が動いた瞬間を再現したい」より)

これは、佐渡島さんが、自身の経験を通じ編集者として大事なことを語ったときの言葉です。

一見、漫画や小説など、「物語のクリエイターへのアドバイス?」と捉えてしまいそうですが、

実は、普通に生きているだれしもが、応用できる考え方ではないでしょうか?

つまり、だれでも”自分の物語”(つまり自分の人生)をよりよく生きたいと思っているはずですから、

人生というコンテンツの中で、心揺さぶる物語を作るなら、

やっぱり「感情を揺さぶられた瞬間」に着目するべきなのでは?と思ったのです。

【2】ライター一田憲子さんが言う「私たちの心にたまった”宝物のゴミ”」とは?

そういえば、これと少し近いことを以前読んだ本でも書いてあったと思い出しました。

『私らしく働くこと』という、働く女性のインタビュー集です。

これは『天然生活』『クレア』『LEE』など多数の雑誌で活躍するフリーのライターの一田憲子さんの著書で、「働くこと」と「自分の好き」を掛け合わせたい様々なキャリアの女性に取材している本です。

この中で、一田さんは、とある編集者の女性にインタビューします。

そのインタビュー相手の女性は、雑誌編集者としてバリバリ仕事をやっていましたが、

子育てをしながら家と会社の行き来が中心で仕事に没頭する生活。

時間が限られる生活の中、だれでも知っているような流行りのドラマすら見ることもなかった。

ところが、部署異動で、書籍の編集部に移ったときのこと。

見たこともないテレビドラマをみる機会が生まれ、当時一大ブームを巻き起こしていた

キムタクの「ロングバケーション」をたまたま観た。

そして、観たことがないからこそ、衝撃を受けたそうです。

この方は、その心の波立ちに蓋をせず「40代からの恋」という雑誌の企画を作った・・・のだそう。

一田さんはこの女性の話を聞き、「仕事」について以下のように語っています。

心がツンと刺激され、ハッと何かに気がついて、自分の内側で新たな扉を開くことがある。

けれど、その感動を、何かことを起こすためのパワーに変換するのは難しい。

そんなことできっこないよね、と諦めてしまったり、売り上げのことを考えないといけないし、

現実との条件に照らし合わせて、途中で投げ出したり。

でも、仕事の一番の醍醐味は、自分の心を動かした”何か”を、今の生活に取り入れて

いかに”現実化するか”なんじゃないだろうか?

(「私らしく」働くこと/一田憲子著 より)

「キムタクのドラマを見て、心が波立って、その感動を雑誌の企画にした」

表面的に見れば、それだけの流れなのかもしれない。

若いだったら、そんな風に通り過ぎるだけのエピソードだったかもしれません。

でも、自分の感情の揺れをしっかり捉えて、そこにフォーカスしていく、そこに仕事をぶつけていくのって

大変だけど、めちゃくちゃ大切なことかも、と思うのです。

なぜなら、自分が心を動かされたことに素直に生きていたり、もっと丁寧に汲み取っていたりしたら、

「やりたいことが見つからない」なんてことはないんではないだろうか?と思うからです。

そして、一田さんはこのように続けます。

せっかく心が震える想いを味わっても、

次々に押し寄せる新たな情報によってあっという間にあの想いを過去のものにしてしまう。

”過去”という引き出しの隅っこにしまわれた想いは、

そこにしまったことさえ忘れられ風化して”なかったこと”になってしまう。

私たちの心にはそうやって輝きを失った”宝物のゴミ”がたまっている。

(「私らしく」働くこと/一田憲子著 より)

宝物のゴミ・・・

まさに「私、溜め込んでいる!」と思いました。

【3】まとめ

40歳を過ぎた仕事人生を振り返ってみると、

「だれからも文句を言われない」「だれからもつっこまれない」というように、他人の目を意識しながら働いていたなあ・・・と思います。

親からも、友人からも、上司からも、同僚からも「ダメなやつ」って思われるのが怖かったので、自分の気持ちは二の次・・・そんな感じになっていたかもしれません。

でも、今、子育てをしながらできないことだらけの人生を味わって、しかも年齢的にも人生の折り返し地点に立って、初めて「もういいや」って吹っ切れる境地に至りました。

ここで好きなことから距離を置いていると、死ぬときに後悔してしまいそうだと思いました。

だから、最低、生きていけるお金が稼げれば、ちゃんとした会社で正社員で働くことにこだわらなくてもいいやと思たし、

「ピアノを弾けるようになりたい」といった、今更ながらのごくささやかな望み(でも長い間ずっと願っていたこと)を実現してみたい、と思いました。

今になって、自分がかつて感動して、心の奥底に地層のように積み重なった宝のゴミを一つ一つすくい上げているこの頃です。

まだ、それがどんなふうに未来に繋がるのかは分かりません。

でも、自分の感動に素直に反応して生きていくと「生きているのがとても楽しい」そう感じるのは確かです。

「私らしく」働くこと〜自分らしく生きる「仕事のカタチ」の作り方〜

一田憲子 著

(この記事を書いた人)shimo

フリーランスのライターと会社員半々の生活をしながら、仕事と育児と遊びのバランスを日々、試行錯誤中。読書、映画、マリメッコ が好き。現在カメラ勉強中(愛用機:SONY α7c、RICOH GR Ⅳ、RICOH GRX)。毎日、「1万歩歩くこと」「心に残った写真を必ず1枚撮影すること」が自分の日課。

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